いい日旅立ち9

ジャスパーからおよそ600kmを走破した「ザ・カナディアン」は、夜を迎えたエドモントンへと入ってゆく。

しかし、このあたりは夜中になっており、景色を観賞することはもはや適わない。

3日目を迎える。旅はまだ続く。

サスカチワン州に入って茫漠とした大平原を走り、再び夜を迎えたところでマニトバ州の州都ウィニペグに到着。

CNとCPが合流するのがこの駅で、「ザ・カナディアン」は、ここからは以前と同じ線上を走る。


さらに東に歩を進めるうちに、4日目の夜が明ける。

相変わらず大平原が続く。

農家や穀物畑、小さな湖や沼が点在する中を淡々と走る。

トロントには、最後の一夜が明けたところで到着する。

乗り通すとすれば、かなりの根気が要求されるが、一生心に残る思い出の旅になることは確かである。

いい日旅立ち8

ここからおよそ850kmの地点の、カナダ最大の国立公園の基地ジャスパーまでは時間にして12時間以上。

この間、ミエッテ川が蛇行しながら線路に付きしたがうロブソン山を眺めた後、鏡のように湖面が澄んだムース湖が右手に現われ、イエローヘッド峠を越える。

ほどなくイエローヘッド湖が車窓に流れる。

ジャスパーを出ると、今度は流れがアサバスタ川に変わり、流れに沿ったジャスパー湖が右手に現われる。

そして、その向こうにミエット連峰が雀えているのが望める。

ほどなくカナディアン・ロッキーの東側の入口、その名もずばりエントランスの町に入る。

列車はぐんぐん高度を下げ、やがて大平原へと下り立つ。

いい日旅立ち7

さて、トロント行きの「ザ・カナディアン」は夜も更けてからヴァンクーヴァーを発車する。

バンプ経由の時代は、もっと早い時間に発車していたが、ぐっと遅い時間に改められた。

ロッキー山脈の迫力ある山越えを、翌日の明るい時間帯になるべく長く見てもらおうとの配慮によるものだろうか。

以前は、特に冬場となると一番見たい景観が闇の中という状態だったから、これは旅客にとってはありがたい。

翌朝、目を覚ますと列車はカムループス付近を走っている。

早くもロッキーに入り込んだのである。

いい日旅立ち6

2階建てのドームカーで、1階はラウンジ、2階が展望ドームになっている。

ここは全乗客に開放されているので、誰もが好きな時に利用することができ、コーヒーとティーは無料で飲める。

また簡単な売店が設けられており、サンドイッチなどのスナックやジュース類が売られている。


食堂車は、中ほどに付いている。

広窓で明るい車内には通路を挟んでテーブルが並び、1卓に4人が座れる。

全線乗り通すとしたら、少なくとも7~8回はここかカフェカーで食事をとることになる。

いい日旅立ち5

寝台車は、2人用と1人用の個室があり、長丁場を乗り通すとしたらぜひこちらがおすすめである。

ただ、室内は案外狭く感じられるから、一日中籠っていると圧迫感を感じてしまいそう。

せっかく、豪快な、また雄大な景観の中を走ってくれるのだから、ここはまめにラウンジなどに出てリラックスしたい。

そこでおすすめの車両ということになるのだが、編成の中間と最後尾についている、この列車の目玉である展望車にとどめをさす。

いい日旅立ち4

「ザ・カナディアン」は、季節や運行日によって異なるが、通常12両から16両ほどのステンレス車両で編成されている。

ロングランの列車だから、寝台車がついているのは当たり前のことなのだが、ほかにオープンサロンのコーチもついているところがユニークだ。

これは、もちろん区間利用客のことを考慮してのものだろうが、結構この座席で夜を過ごす人も多いところを見ると、それなりに人気があるということなのだろう。

実際個室になっていて、片側の車窓が見えない寝台車に比べれば、その視界ははるかに広い。

いい日旅立ち3

カナダの大陸横断のルートは2つあった。

1つは現在の「ザ・カナディアン」が走っているジャスパー経由、そしてもう1つがバンフを経由するものであった。

ジャスパー経由がCNで、バンフ経由がCPの路線である。

ということは、現在の「ザ・カナディアン」はCNの線路を走っているということである。

しかし、「ザ・カナディアン」はCPが走らせていた列車だった。

事実、1990年まではバンフ・ルートを走っていたのだが、その後ジャスパー・ルートに変更されたものである。

いい日旅立ち2

このVIAというのは、カナダ国鉄(CN)と、一都カナダ政府も出資している民営のカナダ太平洋鉄道(CP)の旅客部門を合体させてできたもので、これはアメリカのアムトラックと同じ発想だ。

「ザ・カナディアン」は、もともとCPが走らせていた列車であった。

「ザ・カナディアン」のルートは、太平洋に面したカナダ第3の都市ヴァンクーヴァーから、ジャスパー国立公園の基地ジャスパーを経由して五大湖の一つであるオンタリオ湖畔にたたずむトロントを結ぶもので、この間急峻なカナディアン・ロッキーの山越えあり、果てしなく続く大平原の横断ありと、じつに趣に富んでいる。

4つの時間帯にまたがり、走行中に時間が3回も変わるという、日本では考えられない時差体験もできる。

いい日旅立ち

日本の北端の町・稚内から南九州の西鹿児島まで、およそ3000km。

もちろん、この間を直通する列車などありはしない。

これだけでも十分に長い距離なのに、これをはるかに上回る4467kmという長大な鉄路を、4泊5日かけて走破する列車がある……!

その名は「ザ・カナディアン」。

文字どおり、アメリカ大陸の北部に位置するカナダを横断する、超ロングランの列車である。

「カナディアン」は、VIA Rai1 Canada、通称「VIA」と呼ばれるカナダ旅客鉄道企業体によって運行されている。

等身大ドクターもの3 「グリーンフィールド・クラブロス」

もちろん、この番組だけでなく、八〇年代に放送されたいくつもの作品のエッセンスを取り入れて「ER/緊急救命室」という秀作が九〇年代に誕生するわけだが、メディカル・ドラマというジャンルに限定するならば「ST.ELSEWHERE」はまちがいなく「ER/緊急救命室」のルーツである。

「ST.ELSEWHERE」はいくつものエミー賞を受賞し、八八年までの六年間放送された、八〇年代を代表するメディカル・ドラマといえる。
しかし、日本未放送のため、日本では無視されたに等しい。


その後に登場したドラマが「グリーンフィールド・クラブロス」である。

このドラマは、同名の小説を題材にした。

海と向き合うグリーンフィールドクラブロス氏の生きざまを描いた傑作である。

小説では、氏のふらふらした生活態度と、信念を貫く闘志が見事に描かれていた。
そして、ドラマも期待を裏切ることなく、見事にグリーンフィールド・クラブロス氏の生涯を絶妙なタッチで描き上げた。

アメリカのエンターテイメント業界の質の高さを改めて見せつけられた一作であった。

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